写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里
WSBK第9戦フランス
9月5日~7日/フランス マニクール・サーキット
サマーブレイク明けの1戦、2種類の開発仕様を投入
約ひと月のサマーブレイクを終え、スーパーバイク世界選手権(WSBK)は第9戦を迎えました。ピレリは、フランスラウンドのリアタイヤとして、スタンダードのソフトのほか、開発仕様のスーパーソフトのE0126、そしてスーパーポールとスーパーポール・レース向けの開発仕様のエクストラソフト、E0479を投入しました。
スーパーソフトのE0126は今季、すでに3戦で投入され、エクストラソフトのE0479はエミリア・ロマーニャで登場したものです。
スーパーソフトのE0126はレース1とレース2で全ライダーによって選択されました。また、エクストラソフトのE0479は約半数のライダーがスーパーポール・レースで使用しています。
ラズガットリオグル、3レースで優勝も「簡単な週末ではなかった」
サマーブレイク明け最初のラウンドも、チャンピオンシップのランキングトップ、トプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が席巻しました。ラズガットリオグルはポールポジションから3レースで優勝を飾り、今季5度目となるハットトリックを達成したのです。
しかしラズガットリオグルは、じつは「簡単な週末ではなかった」とWorldSBK.comのインタビューで明かしました。
「すべてうまくいっていたように見えるかもしれないけれど、簡単な週末じゃなかったよ。毎周、限界までプッシュして、いいペースを刻もうと頑張ったんだ。全体的に、僕たちはとてもいい仕事をした。これはチームワークの成果だよ。ここは好きなサーキットなんだけど、どのレースでもいい走りができて大きな差をつけられた。でも、何より大事なのは勝ったこと。こうしてまたハットトリックを達成できた。次はアラゴンに集中するよ」
また、ラズガットリオグルは「昨年はマニュファクチャラーズ・チャンピオンシップを取れなかった。今年こそは取りたいね」とも語りました。
2024年はラズガットリオグルがチャンピオンを獲得したものの、マニュファクチャラーズ・タイトルをドゥカティに譲ったのです。今、ラズガットリオグルは、自身のライダーズ・タイトルと、BMWのマニュファクチャラーズ・タイトルを目標に掲げています。
今大会、ニッコロ・ブレガ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)は3レースで2位となりました。フランスラウンドの結果により、チャンピオンシップのランキングトップであるラズガットリオグルは、ランキング2番手のブレガに対し、39ポイント差をつけています。



引退表明したレイ、レース2で6位の好感触
そして、8月25日に今季をもってフルタイムでのレース活動から退くことを発表したジョナサン・レイ(パタ・マクサス・ヤマハ)は、レース2で6位に入りました。WSBKで6度のチャンピオンに輝き、一時代を築いたレイは、ヤマハとの契約満了とともに、第一線を退きます。
「日曜は良い一日になったよ。スーパーポール・レースでは13番手からうまくスタートして、グループに加わって3列目(7番手)でレースを終えられた。レース2に向けていいスタートポジションを得られたんだ」(WorldSBK.comのインタビューより)
「レース2ではスタートがうまくいって、アレックス(・ロウズ)や(ダニロ・)ペトルッチとのバトルになった。ダニロの後ろに留まりすぎて、その後はアレックスとの表彰台争いに夢中になってしまった。でも最後までいい戦いができたし、6位という結果は僕たちにとって本当にポジティブだよ」
「僕が静かに引退を待つと思ったら、それは間違いだよ。僕にはまだ燃えるような競争心がある。表彰台を争えるのはうれしいし、戦う力を少し取り戻すことができた。今週末の仕事には満足しているけど、僕は前で戦いたい。今日はその感触を少し得られてよかった。この週末は、それを可能にするバイクがあったんだ」
第10戦アラゴンラウンドは、9月25日から27日にかけて、スペインのモーターランド・アラゴンで開催されます。