写真:Pirelli
テキスト:伊藤英里
WSBK第6戦エミリア・ロマーニャ
6月13日~15日/イタリア ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ
開発仕様のエクストラ・ソフトが新投入
ピレリはエミリア・ロマーニャラウンドに、新しいエクストラ・ソフトのリヤタイヤ、E0479を投入しました。このタイヤは、スタンダードのSCQに代わるものです。また、オランダラウンドとイタリアラウンドで使用されたスーパーソフト、E0126がアロケーションされました。
E0479はポールポジションを獲得したニッコロ・ブレガ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)などがスーパーポールで使用し、また、スーパーポール・レースでも多くのライダーに使用されました。
開発仕様のリヤタイヤ、スーパーソフトE0126は、レース1とレース2で、優勝したトプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)を含む全ライダーに使用されています。
ラズガットリオグルがドゥカティのホームレースで完勝を果たす
エミリア・ロマーニャの週末は、ラズガットリオグルが席巻しました。ラズガットリオグルは2024年に続き、2025年もレース1、スーパーポール・レース、レース2の3レースで優勝を果たしたのです。ラズガットリオグルはドゥカティのホームレースであるこのミサノで「勝たなければ」と決意を固めていたそうです。
「とてもうれしいよ。今週末はすごく頑張っていたし、3勝することがいちばんの目標だったんだ。チームが少しずつ改善してくれたおかげで、最後のレース2は特によかったね。昨年もここで3勝して、また今年もそれを達成できた」と、ラズガットリオグルはWorldSBK.comのインタビューで答えています。
また、ラズガットリオグルは、「モストで電子制御のトラブルが最終コーナーで発生していなければ、もっとハッピーだっただろうね。今ごろチャンピオンシップのリーダーだったはずだから」とも語っていました。
前戦チェコラウンドのレース2で、ラズガットリオグルは電子制御のトラブルによって優勝を失い、わずか0.027秒差でブレガが勝利したからです。
とはいえ、ラズガットリオグルが得意のミサノで確実に3勝を挙げ、チャンピオンシップのランキング2番手は変わらないながらも、ランキングトップのブレガとの差を9ポイントに詰めました。
ラズガットリオグルといえば、2026年シーズンからMotoGP(チームはPrima Pramac Yamaha MotoGP)に参戦することが発表されたばかりです。レース後には「MotoGPに参戦する前に、SBKでタイトルを獲得したい」と、今季のチャンピオン争いへの意気込みを見せていました。
「2017年に父が亡くなったんだけど、彼の大きな夢は、息子がMotoGPライダーになることだったんだ。父はいつも周りにそう言っていた。そして、ついにその夢がかなったんだ。とてもうれしく思っているよ。友人のメッセージは感動的で、泣きそうになった。一歩一歩近づいて……、『ハッピーな父の日』になったんだ」


A.ロウズによってビモータが25年ぶりの表彰台
スーパーポール・レースでは、ビモータbyカワサキ・レーシング・チームのアレックス・ロウズが2位を獲得しました。スーパーポール・レースの場合、表彰台でのセレブレーションは行われないのですが、公式の中継によって「ビモータにとって2000年オーストラリア以来となるポディウム(表彰台)」と表現されているため、ここではそれにならっています。
もちろん、A.ロウズにとってもビモータにとっても、今季初のトップ3獲得です。
イギリス人ライダーのA.ロウズはパルクフェルメのインタビューで、まずはイタリア語でミサノのファンに向けて「応援ありがとう!」とお礼を述べてから、あらためて英語で「イタリアでポディウムを獲得できてうれしいよ」と語っていました。
「(イタリアは)チームのホームレースだしね! 3番手を争っていようと10番手を争っていようと、みんな、同じように力を尽くしてくれるんだ。アクセル(・バッサーニ※チームメイト)のほうもね。彼だって、今週末はポディウムにふさわしかったと思うよ」

なお、チャンピオンシップのランキングトップであるブレガは、レース1は2位を獲得し、スーパーポール・レースではスタート直後の1コーナーでバッサーニと接触して転倒リタイア。レース2は10番手スタートから追い上げ、2位を獲得しています。

第7戦イギリスラウンドは、7月11日から13日にかけて、イギリスのドニントンパークで行われます。