2026年FIMスーパーバイク世界選手権第10戦イタリアラウンドが、9月25日から27日にかけてクレモナ・サーキットで開催されました。

WorldSBKではイケル・レクオーナがRace 1、スーパーポール・レース、Race 2のすべてを制し、自身初となるWorldSBKでのハットトリックを達成。その一方で、チームメイトのニコロ・ブレガが3レースすべてを2位で終え、Race 2で2026年のWorldSBKチャンピオンを確定させました。

WorldSSPに参戦する岡本裕生(Pata Yamaha Ten Kate Racing)は、エンジン使用基数超過によるペナルティを抱えながら2レースを完走。Race 1を20位、Race 2を23位で終えました。

岡本裕生、最後尾スタートと2回のロングラップペナルティ

前戦フランスで自己ベストタイとなる13位を記録した岡本は、クレモナでもさらなる前進を目指して週末をスタートしました。

金曜日のスーパーポールでは25番手。前年よりも速いラップタイムを記録したものの、エンジン使用基数の上限超過により、Race 1では最後尾グリッドからのスタートに加えて、2回のLong Lap Penaltyが科されました。

土曜日のRace 1は、スタート後に発生したアクシデントによって赤旗が提示され、13周に短縮して再スタート。岡本は最後尾からスタートすると、2回のLong Lap Penaltyを消化しながら前を追い、20位でチェッカーを受けました。

チームマネージャーのKervin Bosも、複数のペナルティを抱えながらトップ20まで順位を上げた岡本の走りを評価。岡本自身も「最後尾から20位まで多くのポジションを取り戻すことができた」と振り返っています。

日曜日のRace 2でも、岡本には同じく最後尾スタートと2回のLong Lap Penaltyが科されました。序盤でペナルティを消化した後は再び前方を追いましたが、最終的には23位。ポイント獲得には届きませんでした。

岡本はRace 2後、朝のウォームアップでは非常に良いフィーリングを得ていた一方、決勝では感触が異なったとコメントしています。

結果だけを見ればノーポイントに終わった週末でしたが、チームは「ペナルティがなければ両レースとも十分にポイント圏内でフィニッシュできていた」と評価。フランス戦で見せた前進を、クレモナでも継続できていたことを強調しています。

レクオーナが3連勝、ブレガは2026年王者に

WorldSBKではレクオーナが週末を通して速さを見せました。

土曜日のスーパーポールでは、リアにPirelli DIABLO SuperbikeのエクストラソフトSCQを装着して1分27秒253を記録。前年のサーキットレコードを0.6秒以上更新し、WorldSBKでは2022年バルセロナ以来となるポールポジションを獲得しました。

その勢いのままRace 1、日曜日のスーパーポール・レース、Race 2をすべて制し、WorldSBKキャリア初となるハットトリックを達成しました。

一方、3レースすべてでレクオーナに続く2位となったブレガは、Race 2で2026年のWorldSBKチャンピオンを確定。2023年のWorldSSPに続く自身2度目の世界タイトルで、WorldSBKでは初戴冠となりました。

今季のブレガは、クレモナ終了時点で30戦すべてで表彰台に立ち、そのうち26勝。さらに開幕から21連勝を記録し、前年から続く連勝をWorldSBK史上最長となる25戦まで伸ばすなど、記録的なシーズンを送ってきました。

クレモナでは3戦とも勝利には届かなかったものの、母国イタリアでその快進撃を自身初のWorldSBKタイトルという形で結実させました。

2026年WorldSBKチャンピオンを決め、感極まるニコロ・ブレガ
2026年WorldSBKチャンピオンを決め、感極まるニコロ・ブレガ。

新開発F0769を投入。一方、3勝を挙げたのは市販レーシングレンジのSCX

今回ピレリがクレモナへ投入した技術的な注目点が、新開発のリアタイヤ「F0769」でした。

F0769は、市販レーシングレンジのSCXと同じスーパーソフトコンパウンドを使用しながら、構造を新たにした開発仕様です。旋回中からコーナー立ち上がりにかけての車体安定性向上を狙って開発されました。

これは、前年のクレモナに投入された開発タイヤ「E0126」と同じ流れに位置づけられます。E0126は2025年のレースで得られた結果をもとに市販レーシングレンジへと昇格し、現在のSCXとなっています。今回のF0769も、既存のSCXと直接比較しながら次の開発につなげるための仕様でした。

ただし、クレモナで勝利を挙げたのは新開発F0769ではなく、すでに市販レーシングレンジとしてラインアップされているSCXでした。

Race 1では大半のライダーがSCXを選択し、F0769を使用したのはギャレット・ガーロフとトーマス・ブライドウェルの2名。レクオーナはSCXをリアに装着して勝利し、ファステストラップも記録しました。

日曜日もレクオーナはSCXを使用してスーパーポール・レースとRace 2を制覇。スーパーポール・レースでは、よりソフトなSCQを選択したブレガが1分27秒783の新レースラップレコードを記録しています。

新しい開発仕様を投入して評価を進めながら、その一方で現在の市販レーシングレンジが3レースすべてを制したクレモナ。前年まで開発仕様だったタイヤが現在のSCXになっていることを考えると、レースでの開発と市販製品の距離の近さが改めて見える週末でもありました。

ピレリにとって最後のWorldSBKイタリアラウンド

そして今回のクレモナは、ピレリにとって特別な意味を持つ一戦でもありました。

2004年からWorldSBKの単独タイヤサプライヤーを務めてきたピレリは、2026年シーズンをもってその役割を終えます。そのため、クレモナは23シーズンにわたるパートナーシップのなかで最後の母国イタリアラウンドとなりました。

会場にはピレリ従業員のための専用スタンドも設けられ、日曜日には長年にわたるWorldSBKとの歩みを振り返る「Thanks WorldSBK」のメッセージも掲げられました。

クレモナ・サーキットに掲げられたThanks WorldSBKのメッセージ
ピレリにとって最後の母国ラウンドとなったクレモナでは、「Thanks WorldSBK」のメッセージが掲げられました。

タイトルを決めたブレガ、3レースすべてを制したレクオーナ、そして新たな開発タイヤF0769。ピレリにとって最後の母国ラウンドは、23年間続けてきたレース活動とタイヤ開発の両面を象徴する週末となりました。

次戦は10月9日から11日にかけて、ポルトガルのエストリル・サーキットで開催されます。岡本にとっては、クレモナでペナルティによって結果には結びつかなかったペースを、再びポイント獲得につなげられるかが注目されます。

【関連記事】

岡本裕生、19番手から13位へ WorldSSPフランス戦で今季ベストタイ

前戦フランスでは、岡本裕生が19番グリッドから追い上げて13位。今季自己ベストタイの結果と、SCX/SCQのタイヤ選択を振り返ります。

2026 WorldSBK第8戦イギリス|レクオーナ初優勝、ブレガが日曜2連勝

レクオーナがWorldSBK初優勝を挙げ、ブレガの連勝をストップ。2026年のタイトル争いを象徴する一戦となったドニントンを振り返ります。

ブレガ独走の2026年WorldSBK前半戦。高温のアラゴンでSCX/SC0が示したピレリの完成度

高温のアラゴンでブレガが3戦全勝。SCXとSC0の使い分けから、2026年のピレリ・レーシングタイヤの進化を読み解きます。