2025年全日本モトクロス選手権 Rd.6 21Groupカップ 東福寺保雄記念

・開催場所:ウエストポイント オフロードヴィレッジ(埼玉県)
・開催日:2025年10月18日(土)・19日(日)
・天候:曇り一時雨
・最高気温:23℃
・コースコンディション:ドライ to ウエット

2025年は全7戦で競われる全日本モトクロス選手権シリーズは、シーズン終盤の2連戦を迎え、第6戦が「21Groupカップ 東福寺保雄記念」として10月18日(土)~19日(日)に埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開催されました。

今季第3戦の舞台にもなったこのコースは、荒川と入間川に挟まれた河川敷のフラットな土地に設けられており、タイトターンとジャンプが多くて幅が狭いレイアウトで、距離はかなり短めです。天候は土曜日が曇り時々晴れで、日曜日は曇り一時雨。これにより日曜日の午後は、カタい路面が濡れたスリッピーな路面状況に変化しました。

今季、ピレリはワールドスペックの新製品となるSCORPION™ MX32™ MID SOFTを日本市場にも導入。全日本では、「Yogibo Pirelli マウンテンライダーズ」から参戦するIA1クラスの内田篤基選手(#10)、IA2クラスの松木悠選手(#34)と今岡駿太選手(#35)、レディースクラスの松木紗子選手(#10)、IBオープンクラスの島袋樹巳選手(#2)に、マディやサンドに最適なSCORPION™ MX Softのリヤタイヤとともに供給してきました。

さらにピレリは前戦から、IA2クラスに参戦する「TKM motor sports いわて」の横澤拓夢選手(#2)をサポート。そのチームメイトである柳瀬大河選手(#6)も、前戦からピレリタイヤにスイッチしています。また、ピレリタイヤを履き「bLU cRU YSP大阪箕面」からレディースクラスに参戦する川上真花選手(#3)は、シーズンオフのケガから前戦で全日本復帰。その初戦で2位を獲得して、今大会は優勝を狙います。

■IA1クラス

全日本最高峰となるIA1クラスの決勝は、15分+1周の3ヒート制で競われました。その決勝ヒート1、ピレリタイヤを履く内田篤基選手(#10)は、SCORPION™ MX32™ MID SOFTのワイドレンジな特性を活かし、散水で柔らかくなったスタート専用ストレートで車速を伸ばし、2番手でレースを開始。1周目にひとつ順位を下げたものの、トップ2を僅差で追っていました。ところが3周目のリズムセクションで激しくクラッシュ。そのままリタイアしました。

転倒によるカラダのダメージはそれほど酷くなく、内田選手は午後に実施された決勝ヒート2にも出場。抜群の集中力とピレリタイヤのグリップにより、ライバルたちを抑えてホールショットを奪いました。オープニングラップで2台の先行を許したものの、内田選手は後続を抑えて4周目まで3番手をキープ。しかし5周目と6周目にひとつずつ順位を下げると、その直後にフロントホイールのトラブルでスローダウンを余儀なくされ、再びリタイアに終わりました。

決勝レース3は、断続的に強くなる細かい雨の影響により、路面が濡れてスリッピーな状況でのレース。内田選手は出遅れ、1周目9番手からの追い上げを狙いました。3周目、4番手争いが5台の集団となり、内田選手はその最後尾に付けると、レース中盤にかけて着実にポジションアップ。7周目には6番手まで浮上しました。しかしこの段階で、前とは約4秒のギャップに。最後は追いすがるライバルを突き放し、12周でチェッカーとなったレースで内田選手は6位に入りました。

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■IA2クラス

IA2クラスの決勝も、15分+1周の3ヒート制。そのヒート1では、横澤拓夢選手(#2)が1周目3番手の好位置を確保。レース序盤、横澤選手は後続の2台を抑えて3番手をキープしました。レースが中盤に入ると、横澤選手は5番手に後退。その後は僅差で迫る後続を抑え、横澤選手は5位に入賞しました。一方、「Yogibo Pirelli マウンテンライダーズ」の2名は苦戦を強いられ、松木悠選手(#34)は1周目12番手から順位を下げて18位、最後尾に近い26番手から追い上げた今岡駿太選手(#35)は21位でチェッカーを受けました。

決勝ヒート2は、午後になって雨が強くなったことで、スリッピーに変化した路面でのレースに。この中、横澤選手がホールショット争いを繰り広げ、3番手からレースに挑みました。横澤選手は、1周目に5番手後退。5周目に1台を抜いた後は、トップ3に離されたものの順位を守り、13周のレースを4番目にゴールしました。しかしレース後の音量測定をクリアできず、横澤選手は5順位降格の9位でした。今岡選手と松木選手は出遅れ、今岡選手が18番手、松木選手が24番手で1周目をクリア。松木選手が20位、今岡選手が22位でした。

決勝レース3は、雨は止んだものの路面が濡れたままのスリッピーなコンディション。しかし横澤選手は、ワイドレンジなSCORPION™ MX32™ MID SOFTのグリップを活かして再び好スタートを決め、1周目を2番手でクリアしました。2周目、ライバルの転倒で横澤選手はトップに浮上。しかし翌周にミスして2番手に後退すると、4周目からは3番手を守っていました。ところが7周目に転倒。これで順位を落とし、横澤選手は7位でフィニッシュしました。今岡選手は1周目16番手、松木選手は同18番手。ともに追い上げることができず、松木選手が21位、今岡選手が22位でした。

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■レディースクラス

15分+1周の決勝では、川上真花選手(#3)が5番手、松木紗子選手(#10)が8番手で1周目をクリア。川上選手は2周目に4番手、3周目に3番手まで順位を上げると、トップ2との距離を一気に詰めました。これにより4周目には、三つ巴のトップ争いがスタート。後ろで様子をうかがっていた川上選手は、6周目に1台をパスし、トップに迫りました。

3番手は徐々に遅れはじめ、これで優勝争いはマッチレースに。8周目に川上選手が仕掛けるも前には出られず、翌周に軽くミスしたことで3秒ほど遅れました。そして12周のレースを、川上選手は2位でゴールしました。松木選手は、4周目に6番手まで浮上するも、翌周に周回遅れと交錯して転倒。17番手まで後退し、13位まで追い上げてチェッカーを受けました。

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■IBオープンクラス

20分+1周で競われたIBオープンクラスの決勝ヒート1。島袋選手はスタートで出遅れ、11番手からのレースに。それでも1周目を8番手でクリアすると、3周目には7番手に順位を上げ、3台による5番手争いに加わりました。ところが5周目、島袋選手は転倒を喫して10番手に後退。前との距離を再び詰めた8周目に再び転倒を喫して遅れた島袋選手は、終盤に7番手が見える位置まで迫ったものの届かず、16周のレースを10位で終えました。

同じく20分+1周に設定された決勝ヒート2は、30分ほど前から雨がやや強めに降りはじめ、路面がスリッピーになる中でのレース。島袋選手は好スタートを決めると、まずは先頭に立ちました。4周目、島袋選手は転倒を喫するも、すぐに再スタートしてトップをキープ。再び少しリードを拡大しました。ところがレース終盤、バックマーカーの出現で1台の接近を許し、ラスト2周となった14周目に2番手に後退。島袋選手は惜しくも2位でレースを終えました。

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IA1・内田篤基選手のコメント

「ヒート1は、手前のジャンプをうまく跳び切れなかったのに、無理に次を跳んだら引っかかってクラッシュ。幸いにも大きなケガはなく、気持ちを切り替えて臨んだヒート2は、スタートも決まりました。ところが、途中でフロントホイールがバラバラに……。地面に埋まっている石か、ジャンプ着地の衝撃か、他車との接触あたりが原因だと思いますが、レースを続行することができませんでした。ヒート3はスタートで大きく出遅れたのですが、1周目である程度まで挽回できました。その後は、パッシングポイントがかなり少なく難しい路面状況という中では、やれることをやれたと思います。タイヤは3ヒートともMX32™ MID SOFT。今回のように天候がコロコロ変わる状況では、レンジの広さが頼りになります」

IA2・横澤拓夢選手のコメント

「3ヒートともスタートはそれなりに決まり、序盤は上位を走れていたのですが、それを結果につなげることができませんでした。同じくピレリタイヤを使うチームメイトの柳瀬大河選手も、ヒート1からマシントラブルに悩まされ、本来の走りができず不本意な結果に終わりました。タイヤは3ヒートともMX32™ MID SOFTを選択。とくにヒート2は、カタい路面が雨で濡れて光っているような、見た目からして滑りやすい状況でしたが、カチカチ&テカテカでもかなりグリップするんです。タイヤ選択に悩まなくていいというのは、レースでの大きなアドバンテージになっています。最終戦は、優勝を狙っていきます!」

IA2・松木悠選手のコメント

「タイムアタック予選の段階から大苦戦。なんとか予選はクリアできましたが、決勝でもペースは悪いままで、いずれのレースも下位に沈みました。このコースならではの荒れ方に翻弄され、コースと自分に負けました。最終戦に向けて気持ちを切り替えます」

IA2・今岡駿太選手のコメント

「ここまで内容とリザルトが酷かったのは今年初。前戦も結果は満足できるものではなく、2戦連続なので気持ち的にはかなり落ち込んでいます。でも、次はもう最終戦なので、しっかり気持ちを切り替え、最後にベストリザルトを更新できるように頑張ります」

レディース・川上真花選手のコメント

「じつは、スタート直後のストレートが散水でぬかるんでいたので、序盤にいい位置を確保するためリヤタイヤはMX Softを選択。その戦略そのものは悪くなかったと思うのですが、反応が悪くて結局は出遅れてしまいました。カタい路面でも、MX Softは意外とグリップするので、焦らず自分の走りを続けて追い上げることができました。レース終盤、せっかくトップを追えていたのに、ひとつのミスで離されてしまったことが悔しいです」

レディース・松木紗子選手のコメント

「タイヤはMX32™ MID SOFTを選択。まだ雨が本降りになる前とはいえ、カタくて滑りやすい路面でしたが、それでも前に進むグリップを発揮してくれました。周回遅れを処理する際に、ラインをミスして転倒。これで大きく順位を落としてしまったことが悔やまれます」

IBオープン・島袋樹巳選手のコメント

「土曜日のヒート1は、スタート前からカタくなりすぎてしまい、まず反応が悪くて出遅れ、その後は2度の転倒。走りそのものは悪くないと感じていただけに、悔しい結果に終わりました。気持ちを切り替えて臨んだ日曜日のヒート2は、雨が降る中でのレースでしたが、カタい路面が露出していたのでタイヤはMX32™ MID SOFTをチョイス。転倒がありながらもトップを走れていましたが、終盤に体力が尽きてペースダウンしました。シリーズタイトル争いでは、2点詰めてトップと2点差。最終戦で逆転チャンピオンを狙います」



『Yogibo Pirelli マウンテンライダーズ』公式HP
https://www.mountainriders.jp/

ピレリ - 『New SCORPION™ MX32™ MID SOFT』
https://www.pirelli.com/tyres/ja-jp/motorcycle/catalog/product/scorpion-mx-32-mid-soft-new