WSBK第1戦オーストラリアラウンド
2月23日~25日/フィリップ・アイランド・サーキット

スーパーバイク世界選手権(WSBK)第1戦オーストラリアラウンドが、2月23日から25日にかけて、オーストラリアのフィリップ・アイランド・サーキットで行われました。このオーストラリアラウンドから始まり、10月のスペインラウンドまでの全12戦が2024年シーズンとなります。

安全性を考慮し、レース中のタイヤ交換が義務に

開幕戦オーストラリアでは、スーパーバイク世界選手権(WSBK)、スーパースポーツ世界選手権(WSSP)が開催されます。今大会、この2つの選手権のレース1、レース2で、ピットインとタイヤ交換が義務付けられました。

これはドルナ、FIM、レースディレクション、ピレリの協議によって、ライダーの安全性を考慮して決定されたものです。再舗装された新しいアスファルトはグリップが向上した一方、タイヤへの攻撃性が強い路面であり、コンパウンドの温度が上昇したさいに、タイヤのデグラデーションが大きいといったことが勘案されました。

レースではタイヤ交換を考慮し、通常よりも2セット多いタイヤの使用が認められました。また、WSBKは22周から20周に周回数を減算してレース1、レース2が行われ、ピットインとタイヤ交換はWSBKでは9周から11周の間、WSSPでは8周から10周の間と定められました。なお、リヤタイヤについては交換義務がありますが、フロントタイヤについては各ライダーのタイヤの状況に応じて決定されることになりました。

新たに参戦ライダーたちが活躍した開幕戦

開幕戦オーストラリアラウンドのレース結果は、近年にないものでした。スーパーポール・レースでトプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が3位、レース2でアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が2位を獲得した以外は、2023年チャンピオンシップのランキングトップ3が表彰台に上らなかったのです。

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2023年ランキングトップ3不在のレース1表彰台。優勝はルーキーのニッコロ・ブレガ(中央)、2位はアンドレア・ロカテッリ(左)、3位はドーピング検査陽性による出場停止期間が明け、今季からレース復帰のアンドレア・イアンノーネ(右)
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レース2はA.ロウズが優勝(中央)。2位がバウティスタ(左)、3位にはダニロ・ペトルッチ(右)が入った
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4年ぶりに優勝を飾ったカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKのA.ロウズ

1度の表彰台に終わったバウティスタ。「ハッピー」と笑顔の理由は

特に、2023年の36レースで27勝を挙げて強さを誇ったバウティスタは、未勝利に終わりました。WorldSBK.comが伝えているところによれば、バウティスタは2023年シーズン終了後に行われた11月のテストで転倒し、首と肩を負傷して、フィリップ・アイランド・サーキットに到着したときはその影響が残っている状態だったということです。

また、2024年シーズン、レギュレーションの変更により、新たに導入された最低重量が車両とライダーにより考慮されることになりました。最低車両重量は168kgと変わりません。しかし、基準体重80kg(レーシングギアをフル装備した状態)に満たないライダーは、その体重差の50%のバラストを積まなければならなくなったのです。

例えば、レーシングギアをフル装備して体重70kgのライダーは、基準体重と10kgの差がありますので、その50%の5kgのバラストを積む計算になります。バウティスタは「約6kgのバラストを積んでいる」(WorldSBK.com)ということです。こうした状況もまた、バウティスタの開幕戦に影響したことが考えられます。特に重量に関しては、二輪車という不安定な乗り物を傾けて操る競技だけに、慣れの時間が必要でしょう。

ただ、レース2で今季初の表彰台となる2位を獲得したバウティスタの表情は、明るいものでした。レース2は、レース序盤に発生したジョナサン・レイ(パタ・プロメテオン・ヤマハ)の転倒により、赤旗中断。再開されたレースは11周で行われました。バウティスタはトップを走ったものの、終盤にタイヤに問題が発生して苦戦し、最終ラップにアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)にかわされて2位に終わっています。

「すごくうれしいよ。実は、ここに来る前は上位争いができるとは思っていなかったんだ。プレシーズンでうまく準備ができず、バイクのフィーリングがかなり欠けていた。バイクにいいフィーリングを得るためには、もっと走る必要があった」と、WorldSBK.comのパルクフェルメのインタビューで、バウティスタは答えています。

また、WorldSBK.comのインタビュー動画では、こうも語りました。

「(レースには)満足しているよ。バイクのフィーリングは毎日、セッションごとによくなっていたからね。それがボクの目標だった。というのも、ここに来たときの目標は、まずフィジカル面で問題なく、バイクのフィーリングをよくすることだったんだ。そして2つ目の目標は、バイクに乗っているときの自信をもっとつけることだった」

「だから、ハッピーなんだ。プラクティスの度にどんどん自信が増していったし、強さも感じた。こうして週末を終えられたことに、とても満足しているよ」

バウティスタの言葉からも、やはり、現状に適応する時間の必要性が感じられます。一方で、オーストラリアラウンドを通して、バウティスタのフィジカル面、そしてバラストを積んだマシンへの適応が順調に進んでいることも窺わせており、それはレース2の結果が示す通りでしょう。開幕戦の結果は、2024年シーズンの展開がここ数年とは異なることを感じさせながら、バウティスタ復調の雰囲気をもはらんでいたのかもしれません。

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レース1は転倒で15位。スーパーポール・レースは4位。レース2は残り3周からタイヤの問題を抱えていたというバウティスタ。最終ラップでトップを奪われたが、2位を獲得

2024年、WSSPに大久保と鳥羽がフル参戦

2024年シーズンのWSSPには、大久保光と鳥羽海渡、2人の日本人ライダーが参戦します。過去にWSSP参戦経験を持つ大久保は、電動バイクレースFIM Enel MotoE World Championshipを経て、今季はWSSPに復帰。鳥羽はロードレース世界選手権Moto3クラスからWSSPへの転向となります。

開幕戦オーストラリアはそろって苦しい戦いとなり、レース1はともにリタイア。レース2は鳥羽が21位、大久保が24位でした。

WSBK第2戦カタルーニャラウンドは、3月22日から24日、バルセロナ・カタルーニャ・サーキットで行われます。

写真:Pirelli

テキスト:伊藤英里